体重免荷装置(BWS)、体重免荷トレッドミルトレーニング(BWSTT)の参考文献
①転倒リスク減少
”体重免荷装置(BWS)は歩行時の重心動揺に対し、補助的な役割をする。1)”
このため、転倒しにくい。
また、転倒防止作用のある体重免荷装置も多いため、転倒リスクが減少する。
②低体力者の早期歩行練習
”FWSTT(免荷なしトレッドミル)に比較して、BWSTTでは体重の25%免荷は10%程度、50%免荷では18%程度酸素摂取量が減少する”1)。
このため、耐久性が低下している患者でも、早期から歩行練習を開始できる。
2期待される効果
③股関節伸展によるCPGの賦活
トレッドミルのベルトによって、股関節が伸展に促される。このため、腰髄や橋にあるCPG(Central Pattern Generater)を利用することが出来、歩行を学習することが出来ると考えられている。
実際は観察からCPGが働いているかどうかを判断することは困難であり、腰髄・脳幹のどちらのCPGが働いているかなど、明確な話ではないので、簡単な症例発表などで話すのはオススメしない。
③歩行能力の指標の向上
3免荷量の決め方
歩行の活動パターンに相違が生じない体重の40%以下を推奨している。更に免荷量20%程度が,体幹ベルトがずれにくく免荷量を安定させられるとしている3)。
3)上出直人:重力と体重免荷トレッドミル歩行トレーニング.理学療法.2009;26:713-721.
実際に使われている例の紹介記事
スイス対麻痺センターバルグリスト病院(Swiss Paraplegic Centre, University Hospital, Balgrist)で行われている例では、トレーニング初期には体重の50%程度を免荷し、歩行能力回復と共徐々に免荷量を減じている。ステッピング頻度はトレッドミルのベルトスピードと歩幅との関係から決定され、同病院の例ではトレーニング初期で1.5km/hのベルトスピードが採用されている 。これも訓練者の状態、回復度に応じて適宜変わるものである。1回の歩行トレーニング時間も、訓練者の歩行能力、回復度によって異なる。特に自力でのステッピングがほぼ不可能な訓練者の場合は、左右脚をそれぞれ補助する理学療法士ら補助者の負担がきわめて大きく、通常1セット、2,3分が限界である。これを1回の訓練で休憩を挟みながら数セット行なうことになる
(引用元を失念しました。分かる方がいましたら、情報をお願いいたします。)
5デメリット
⑨視覚情報と体性感覚の矛盾
トレッドミル歩行では,視覚的には静止した感覚になる点から,視覚と体性感覚との間に矛盾が生じ,平地歩行の1.5倍の速度に感じられるとされている。
久保 晃:トレッドミルの歩行速度の知覚 について.運動生理6:33-38,19
⑩トレッドミルのベルトの速度が一定でない。
トレッドミル上を歩行する際の踵接地時におきるベルトに対して逆方向に働く衝撃力と摩擦力がベルト速度を低下させ,この影響によって,実際にはトレッドミルのベルトは定常速度とはならず減速加速を繰り返していると推定できた。
トレッドミル歩行と平地歩行における床反力の比較.岡田ら.理学療法学29(6):209~217.2002
床面の不安定さと歩行速度の影響を受け,歩容は小股歩行となり,歩行中に下腿三頭筋の過剰な活動が観察された.トレッドミルの実施にあたっては,トレッドミルの速度設定や経皮的電気刺激の併用などについて工夫する必要性が示唆された.
脳卒中片麻痺患者におけるトレッドミル歩行と平地歩行の比較一1症例における検討一.山田ら
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