おはなしドットコム

理学療法士、社会、

葬式は絶対にしたくない。俺の灰はトイレに流してくれ。

このお話は

 1仏教のはじまり

 2日本の仏教

 3葬式仏教は本来の仏教の教えではない

 4葬式代が高すぎる

 5日本の葬式仏教に対する疑問

でお届けします。

 

仏教のはじまり

 もともと仏教はインドのゴータマシッダールタ(ブッダ)の教えを基にした宗教です。ブッダは王子として生まれたんですが、下界にこっそり遊びに行った際に、一般の人々の劣悪な生活環境に衝撃を受け、出家しました。そのブッダは修行をし、30歳代で悟りを開きました。つまり、この世のしがらみから解放されました。ブッダの教えではあらゆる事象は川のように流れていて、絶えず変化していて、人の死や病気や不幸は必ず起こる。それを、人の健康などが続くものだと思って、この世に執着しているから苦しみは生まれてしまうのだという教えでした。

 当時の出家の第一歩は、家族や人との繋がり、所持品、金など全ての煩悩を捨てることから始めるのです。そして、全ての物や事への執着から解放される事(煩悩を捨てる)を目指し、完全に解放され悟りを開くと、この世に再び生まれるという苦しみから解放されます。このため、ブッダはあらゆる煩悩・輪廻転生から解放され、生まれ変わる事は二度とないとされています。仏教は煩悩を捨て、悟りを開き、輪廻転生から解放される状態を目指します。

 

日本の仏教

 そこから、日本に西暦538年、仏教が日本に伝来します。日本でも様々な宗派が誕生し、中でも親鸞浄土真宗は「肉食妻帯」、つまり肉を食べたり、結婚したりと、これまで煩悩と考えられてきた事をしました。後に、明治時代に政府の布告により浄土真宗以外でも「肉食妻帯」が公然と行われるようになりました。今の僧侶は、家族や友人など人との繋がりも残しますし、肉を食べたり、結婚したり、ベンツに乗ったりも出来ます。

 少し時代を戻って、日本で広く葬式仏教が行われるようになったのは、鎌倉時代。庶民に仏教が広まってきたころですね。庶民は疫病や飢餓など死を恐れていていました。そこで「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華」と唱えれば、死後極楽へ行けると教えたり、葬式をする事で人々の心の拠り所となったわけですね。

 それが今日まで続いています。

 

葬式仏教は本来の仏教の教えではない

 ブッダは死後の遺骸の処置について、僧侶は葬式よりも自分たちの真理の追及に時間をかけるようにと声をかけたという。家の信者たちが自分で行うと。

 

宗教を信じるには科学が発達しすぎた

 従来より宗教というものは、理不尽な説明のつかない不幸というものに対して、説明をつけるものと言う意味合いが強いと考えています。

 例えば、台風で自分の家や家族が被害にあった時、宗教は”神の試練”だと教えるかもしれません。現在であれば、気圧の関係や、死因なども科学的に説明する事が可能ですが、当時の科学では説明ができませんでした。特に説明のつかなかったものに癌などの病気などに多いと思います。

 人間は理由というものがわかれば安心する生き物です。例えば、五十肩の患者が、医者から「”五十肩”です」と説明を受けると「な〜んだ」と言って、来院前はすごく痛そうにしていたのに、原因がわかるとケロッとして帰っていきます。理由がわからないものに対してはかなり心理的なストレスが生じますが、理由がわかった途端に安心するのです。上記の”神の試練”など無理やりな説明でも”ある事”が心の拠り所となれるのです。

 しかし、現在は科学が発展し、あらゆる事の説明ができるようになってきています。宗教の代わりに科学がなり得るのではないでしょうか。

 

葬式代が高すぎる

 平成29年のデータでは葬儀では平均195万円(第11回 葬儀についてのアンケート)かかっています。うちお寺へのお布施は45万、葬儀費用が121万、飲食代が31万です。

 また、良い戒名(死後の名前)をもらうには大抵2万円から20万円のコースがあり、値段が高いほど良い戒名をもらえます。その後の法事では49日、一周忌など毎回5万程度かかります。このサービスには葬式をビジネスとして捉える姿勢が伺えます。

 

日本の葬式仏教に対する疑問

 このコラムを書いていて、私の提示したい事柄というのがまとまりました。

 1つは、現代で宗教を信仰する事への重要度。

科学が発展した現在、宗教の重さはどうなのか。私は無宗教なので、先祖よりやってきた、仏葬を続ける必要はないし、人の死は死であって、葬式をして成仏する時代ではないのです。

 2つは、日本の僧侶を尊敬できるか。

肉も食って、結婚して、ベンツに乗って、DJをする僧侶は、僕たちと変わらないんじゃないか。煩悩がある僧侶って、仏教について詳しい普通の人ですもんね。

 3つは、葬式代。

 

2010年にイオングループが「お坊さん紹介サービス」を開始し、料金を明確化し、それに対し、全日本仏教会は金額はお布施をする人が決めるべきと削除を求めました。ネットが普及した時代に、サービスと料金を明確化することは自然な流れです。今後、葬儀業界でも、より安価な金額の提示がなされることを期待しています。

 私、個人的には自分が死んだら焼いてくれればそれで良いので、灰はトイレに流してもらって、浮いた葬式代で旅行にでも行って欲しいと思っています。

 

*このコラムは宗教を否定するものではありません。